耕作放棄地と食育

大人の食育

人間は食べなければ生きていけないにも関らず、
食べ物のこと、それが作られる生産現場のこと、
作られた物が流通し売り場に並べられるまで、どれだけの人が関わり、
どのような労力をかけて、私たちの食卓に届いているのか、
どれだけ、理解しているでしょうか?

最近でこそ、食育が叫ばれていますが、食育が必要なのは、子供だけではありません。
何も知らずに過ごしてきてしまった、だからこそ、
気づいたら食料自給率39%なんて危機的事態に陥らせてしまった大人こそ、
学ぶべきことなんです。

これまでも、何度か登場した耕作放棄地という言葉。
知らなかった方も、多いのではないでしょうか?
農家の方の苦労は並大抵ではありません。

耕作放棄地の増加

作物や、家畜は生き物ですから、毎日、手入れや飼育を怠ることができないですよね。
週休2日でも、働き過ぎと文句を言っている、我々サラリーマンの比にもなりません。

ある統計資料では、農家の方の労働を時給換算すると179円という話があり、
我が耳を疑いました。

だから、農業では割が合わず、農業をやめてしまい、
耕作がなされなくなった土地が増えてきているのでしょうか。

農産物を作る田畑のことを耕地といいますが、日本の耕地面積は、
2009年の農林水産省の統計によると
約461万ヘクタール(田251万ヘクタール、畑210万ヘクタール)であり、
日本の国土全体の12%に過ぎません。

ちなみに、日本の国土の70%は森林です。
12%という数字、案外、多い!って安心されましたか?

しかしながら、農林水産省などの資料によれば、現在、
日本に輸入されている食料を生産するために使われている外国の農地の面積は
1245万ヘクタール、これは、現在の日本の2.7倍に当たりますね。

つまり、もしも日本が100%の自給率を達成しようとするには、
単純に考えて、農地を3倍近く増やさなければならないことになります。

このように、日本の耕地の面積は決して多くはないんです。足りないくらいです。
にもかかわらず、「耕作放棄地」すなわち、
農作物を作るのをやめてしまった農地が年々増加しています。

2006年度の耕作放棄地の調査によれば、耕作放棄地の面積は39万ヘクタールに及び、
埼玉県とほぼ同じ面積の農地が、本来の機能を停止したまま、
放置されているという悲しい現実があります。

その原因としては、高齢化で農作業が困難になった、後継者がいないということ。

そして、農作物の価格が下がって収入が減り農業で生計を立てて行くのが困難、
という厳しい事情。

私たちがスーパーで購入する野菜の値段から察するに、
野菜の卸値なんて微々たるものでしょう。

種や苗を買い、トラクターを購入し、動かすためのガソリン代がかかり、
肥料や農薬も買わなければならない、そのコストは計り知れません。
経費を差し引いたら、赤字になることだってあるでしょう。

だから、専業農家ではやっていけず、若い人はサラリーマンとして会社勤めをして
農業以外の収入も得て、ようやく家族の生活が成り立つ、そんな兼業農家が多いのです。

消費者ができること

私たち消費者としては、野菜、果物は安くて当たり前と思っている節がありますが、
農家の方々が汗水たらして毎日手間暇かけて育ててくれた野菜や家畜たち。

生産活動のご苦労を思い、もし、それを自分でするとしたら、
なんて考えたら、安い値段で野菜やお肉を買えなくなると思います。

生産者の方々の労働、手間、コストに見合った適正な価格を支払うことができる、
生産者をバックアップできる消費者になりたいものですね。

食べ残して捨てるなんていうのも、もってのほか。
感謝して大切に食べなければ、バチが当たります。